第8回  第3部 ITをビジネスに活用する技術
    3.4 IT以前の課題「働く人の心を繋ぐ」

「かんばん」は「ものづくり」の現場で働く人々の同期連携を図る方策の一つだ。しかし、独り歩きする幼児に似ている。発行すると、何か起きたとき、止められない。しかも、供給責任を背負っているので、働く人々にムリ・ムラ・無駄を強いる。
「かんばん」の目的に立ち返ると、働く人々の自律・協調・分散を可能にする簡易な方策がある。最終製品メーカの生産スケジュールをサプライヤ(自社工場を含む)に開示しよう。
生産進捗もスケジュールに上書きして開示しよう。スケジュール通りに作業が進行することは滅多にないので、若干の時間的余裕(Time Fence)を持たせて作業着手権限を与えることにしよう。そうすれば、「かんばん」なしの同期生産は容易だ。
ある期間(生産タイムフェンス)内の引取責任を確約すれば、発注指示や納入指示は不要だ。生産スケジューリングの意味を見直すほうがよい。スケジュール通りに生産活動できるほど現在の製造ビジネスは甘くない。刻々と変化する事態に合わせて素早く再スケジューリングすることが肝要だ。それは経営を支える「そろばん」に相当する。

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第7回  第3部 ITをビジネスに活用する技術
    3.3    情報漏洩を防ぐ体制の確立
いま少なからぬ方々が「情報漏洩の恐れ」を理由に、ITの利用を拒む傾向があります。新型コロナウィルス・ワクチンの予約システムも情報漏洩を理由に、独自のシステムを作り、適切な方法で繋ごうとしなかったために、企業や市民が混乱しました。ITを利用するとき、情報漏洩防止は要件です。
ところが、それ以前の問題として「情報品質」を保証する必要があります、品質の悪い情報が流出すると、悪用され、さらに混乱が深まるでしょう。
日本のIT業者たちは「データ作りは利用者の責任です」と突き放します。実際行政や民間のビジネス組織では、エクセルで作成したデータの誤りを訂正する作業に追われ、残業する人が少なくありません。
データ作成・採取するとき、データの品質を自動的に検査し、問題があれば即刻訂正を求めるなら、利用者の負担は大幅に軽減できるでしょう。
情報品質保証体制を確立する必要があります。法律や取引規則、ビジネス規則をIT化して、自動的に情報品質を検査する仕組みを構築することが肝要です。その仕組みの中で情報漏洩の危険性を減らす国際標準の情報技術があります。今回は、情報漏洩の危険性も情報品質の一部分として、考え方と方法を紹介します。

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第6回  第3部 ITをビジネスに活用する技術
    3.2  働く人の心を繋ぐ情報技術「概念データモデルの設計」

ビジネス用プログラミング言語の標準化に取り組んでいたISO/ANSIのある作業グループは、情報システムの使命は「ビジネスに関与する人々の『意思疎通』を支援すること」であると宣言していました。つまり、ITはその実装手段の一つであり、ITを使っても『意思疎通』が困難になると意味がありません。
ITを使う時、ビジネス組織が関心を持つ実世界(Universe of Discourse)の事実を捉え、情報共有する仕組みとして情報システムを構築することが肝要です。言い替えますと、ビジネス活動は事実に基づいて行われます。経営も事実に基づく経営が必須です。
日本では従来、ITを使う手段として情報〈データ〉を設計する傾向がありました。そのことが情報システムを複雑にし、しかもシステム間の連携が困難になっています。「情報システムが組織を分断する」と言ってもおかしくないでしょう。
今回は、ISO/ANSIの作業グループが考えたビジネスデータの設計方法について紹介します。なお私たちは、この方法を用いて幾つかの企業のシステム統合を成功に導くことができました。

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第5回  第3部 ITをビジネスに活用する技術
    3.1 情報システムの簡素化とシステム統合
ITに関して世界標準の教育カリキュラムが定められ、各国がそれぞれの国情に合わせて、カリキュラムを具体化し、IT人材育成に取り組んでいます。
その中でビジネスにITを活用する技術分野として、IS(Information System)が世界では重視されています。小泉政権のおり取り組んだ電子政府・電子自治体構想の中核であったEA(Enterprise Architecture)は永遠に役立つ技術です。(日本では理解できる人が少なかった)
米国連邦政府はバラバラに構築された各州の行政システムをEAに沿って統合し、簡素なシステムに改革しました。ところが、日本ではみずほ銀行をはじめてとして、幾つもの企業がシステム統合に失敗しています。
私たちは幾つかの企業のシステム統合を支援し、辛うじて成功に導くことができました。振り返ると、情報システムが統合前よりはるかに簡素になっています。その考え方と方法を紹介します。

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第4回 DXは日本製造業の革新につながるのか:DXを成功に導くために

何のためのDXか? 下手なDXは無駄だ。
現在、少なからぬ日本のビジネス組織は活性が衰え、生産性も低下し  
ています。しかし、IT投資額は途上国(急速に力をつけている)よりも    
はるかに巨額です。何が悪かったのでしょうか?
過度の分業・分担と下手な自動化と省力が、ビジネス組織を分断し、
働く人たちの業務連携を阻んでいます。
DXは目的ではなく、ビジネス活性化の手段・方策にすぎません。
どうすれば、ディジタル技術を応用してビジネスを活性化できるか、
皆さんと一緒に考えたく思います。

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